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Elle a fait revenir à la vie les fleurs.
夜、母と散歩をしていた時のこと。いつも通る花屋の前で、『ご自由にお取りください』と書かれたピックの刺さった鉢植えつきの花が置いてあった。母はそれにすかさず近寄ると、持ち上げてから「チューリップか」とつぶやいた。
母は、よく花屋で花を拾ってくる。花屋の前にある、もう商品とならなくなった花を貰ってくるのだ。「花屋が花を枯らすなんて」と母は憤っていた。彼女はきれいなものが好きだという。たくさんの花の咲いた庭、美しい調和とシャープさのある清潔な建物、音楽で言うならばジャズが好きなのだとか。以前、若い頃はその美しさを体現するものをして、服を選んでいたが、最近では体型の変化も加わり、服でその満足感を得ることはないらしい。
美しいものを持ちたい、成りたい、目を楽しませたいという気持ちを常に持つということは、自らを引き立てる上で大切なことかもしれない。母が拾ったのはチューリップ。たまに道端に咲いている花を摘んでくることもある。しかし気まぐれに積んでは打ち捨てるのではなく、それを庭に植えかえたり、花瓶に飾って最後まで見届けようとしたりする。そうすることで、終わったと思われていた花は、また、甦ることができるのだ。
今、拾われてきたチューリップは、リビングのテレビの横の大きな花瓶の中におさまっている。にょっきりと伸びた茎がぴんとのびて、深紅の花弁はバラのようだ。私にも、それが美しく見えた。
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