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Camélia approte un nouveau.




『優雅なハリネズミ』という作品を読んだ。ミュリエル・バルべリといる女性による小説でフランスの「本屋大賞」をとった作品であるらしい。なかなかに日本びいきなこの作者。話は、自殺志願の天才少女と、同じアパートに住む自らの高い知性と隠して生きる管理人の二人がそれぞれに思いをつづる形式で書かれている。

この平凡なフランスでの生活の中に、オヅという日本人が引っ越してくることから少しずつ彼女たちの世界が動き出す。しかし、どちらかというとアパートの管理人、ルネのほうがより大きく人生を動かされたのかもしれない。「宗方姉妹」の映画を見たり、さまざまの本や映画を持ち出しては考察している。

少女パロマも管理人ルネも、世界に対して真摯に向き合おうとするためか、説明は長いし、妙に入り組んでいることも多い。ただ、本当に一生懸命考えて生きているのだなぁと思うと何となく、ほほえましくなってくる。

カメリア、という花が象徴的に出てくる。(と、私は思っている)

オヅ監督の映画の中で、苔寺のところで出てくる椿(カメリア)。ルネのアパートにいた、薬物中毒患者の青年が彼女の花壇に植えられていた花の名前を聞く(これもカメリア)。そして、アパートの新しい住人オヅと、ルネの心の交感を行う際にも彼女が頻繁に用いるカメリア。

椿という花が好きなのだなと感じさせられた。

ところで、私の家の近くの家には椿が多く咲いている。ボタリ、ボタリと落ちてくるので、そのあまりの多さにタイヤが滑りそうな気がして怖い、と母がぼやいていた。

椿といえば、あの首が落ちるようなどさっと重たい散り具合が、私も好ましく思っていないところだった。
とくに、母のほうの実家などでは縁起のあまり良くない花として、葬式の時に用いられる花なのだそうである。

この本の作者はそれを知っていただろうか。そして、管理人ルネが最後死んでしまったのは、早くからこのカメリアの花で象徴していたのか。これは偶然か、必然か。

彼女の好きな花は、日本では歓迎されるだけの花ではないのである。

帰りに近くの椿の花を見てみたい気分になった。

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